ヤモリの科学

つい先日、何気につけたテレビにヤモリが出ていたので観てしまいました。


ヤモリが天井に張り付いていられるためには、自身にかかる重力より大きな逆向きの力が必要なはずです。その力はなんぞや????


その力とは、分子間力だというのですが、ではその理屈をうまく説明できますか?そんな人はなかなか少ないと思います(私は分からなかった)。


分子と分子との間には、互いに引き合う力が生じる。これを分子間力というのです。




家の天井に現れたヤモリ。2006年8月12日。赤ちゃんヤモリですね。




ヤモリの手足(手のひら、足の裏)に注目すれば、細い毛がびっしり生えているそうです。それは電子顕微鏡を使ってようやく見えるレベルで、1本の太さは100nm(ナノメートル)。これだけの細さ(小ささ)であれば「物体の分子レベルに近づくことができている」らしい。
一方、人間の目から見れば平面に見える天井でも、その表面を分子レベルで見ると表面はデコボコしている。ヤモリの手足に生えている極めて細かい毛は、天井の凹凸(分子面)を埋めるようにフィットします(分子面に限りなく近づく)。
「ヤモリの毛の一本と天井の構造とで生じる分子間力は極めて小さいものであるが、無数の毛によって生じる分子間力の和は十分に大きいので、その和がヤモリにかかる重力を超えて、ヤモリを天井にくっつけているのだ」と説明されていました。歩くときにも落ちないので、3本足でもなんとか保てそうですね。ヤモリの指を一本ずつ落としていくという残酷な実験でも面白い発見がありそうです。



ヤモリはどんな面でもくっつける生き物だと、そのことに何の疑問も抱かずに生きてきたので、このテレビの内容には驚きました。こんな授業をされたら、生徒はたまりませんね(もちろんいい意味)。


ヤモリは分子間力によって天井に貼り付いている。覚えましょう。



ネットのNHK高校講座物理のホームページでは省かれていましたが、テレビでは、水で濡らせた手の平をガラスに押しつけるとくっつくような感じがする、それもガラスの凹凸と手のひらの凹凸がより埋まることで生じた分子間力によるものであると説明していました。もう一つ、チョークの粉が黒板に付く現象も分子間力によって引き合った結果らしいです(これはほんとかな)。



今回の番組は、分子間力を説明するときの物の例えが、生き物(ヤモリ)で、非常に分かりやすく、他の人への説明もしやすかったので紹介しました。これで子供から、「なんでヤモリは落っこちないの?」と訊かれたときも、なんとか説明できるのでは!



NHK高校講座 物理のページ↓
http://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/butsuri/archive/resume028.html
製作者の立場を考えてみると、素晴らしい番組です。


おわり