ヤクスギランドの喜劇

2010年5月(100530)。屋久島。


ヤクスギランドは海抜1000メートル付近にあり、車から降りてすぐに深い森へとダイレクトに入ることができるいい場所です。コースもいくつかあって、様々な年齢の方がそれぞれ屋久島の森を楽しめると思います。


*********************************
なぜ屋久島に行ったかというと・・・
・・・今年の5月にインドネシアの大学教授が一ヶ月間、鹿児島大にやってきたのです。
目的は未だに不明。チョウの専門家なのでチョウの採集しかないよな?と、こっちの教授と話していました。しかし、生物多様性のずばぬけた地域からあえて日本へ調査に来るか?そもそもチョウは日本の昆虫の中で最も調べられている分類群です。日本のチョウに関して、一ヶ月の滞在で入り込む余地などないでしょう・・・とか思っていましたが、こちらへの返信はあいまいにはぐらかせて、ともかくお金は政府からゲットしてはるばるインドネシアからやってきました。そして結局「あえて日本で」何をしていたのか分からぬまま(自分の論文を書いたり、採集道具を買ったりはしてました)に帰っていきました。まあ日本じゃないとグッズは買えませんでしたが。これなら学生に来させるべきでしょう。

世話係りに任命されたのは私。

その一環で屋久島へも二人で行くことに。

最初は日本の教授から、
「一緒に行ってくれるか?」
ということだったので、
「ハイ」
と返事しましたが、よくよく内容を聞くと、
「俺もあんたの経費、半分は払うから!」という台詞を聞くことに。

なぬ!

しかしインドネシアに一番関係あるのは自分だし、これもしょうがないことなのか、むしろ前向きにやったらいいこともあるんじゃないかなー、いや、ないと困るけど!などと、もやもやを残しつつプラン立てに入りました。
鹿児島から屋久島へは安く行けますが、食費や滞在費や交通費(屋久島の移動はバスかタクシー。万一のことを考えて運転はやめてくれ!と言われ、レンタカーはストップ!タクシーなんて高くて使えないので、結局バスということに。屋久島のバスは便数が非常に少ないために、主目的のヤクスギランドに行くだけでも、二泊三日に)を考えると、半額でも自腹額が2万を超えることに。拘束時間も長すぎるでぇええなんて思ってましたが、出発の寸前になってお金が大学から降りることになり、一安心。それまで安さだけを考えてプランを組んでいたため、若干お金も浮くこととなって気持ちよく屋久島へと旅立ったのでした。

一日目はプチ観光をし、二日目にヤクスギランドへ。

**********************************

ヤクスギランドの入り口には、こんなにかわいい鹿がいました。

ぜんぜん逃げないマスコット的な鹿でした。




戯れる教授。「鹿と一緒に撮ってくれ」ということで写真をパチリ。


************また、脱線(補足)*************

この方、あまり昆虫に詳しくなかったのです。
チョウの専門家のはずですが、4匹採れたと言って(半日で4匹。・・・少なすぎる)見せてくれたチョウの中には、一匹、ガが入っていました。私はそれを指摘しました。
すると、最初認めようとしたがらなかったですが、うそっぽく目を細めて見たあとで、「ウン、そだね」と。ほんとにガと理解しての発言だったかは分かりません。
インドネシアの昆虫相は日本のものとは比べるべくもないくらい幅も奥行きもあるものです。そんな複雑怪奇な場所で研究しているのに、日本のシンプルな昆虫(しかも専門のチョウ)のことが分かっていない。こんなのでインドネシアで学生に指導ができるのかと不安になりました。日本人で虫が好きなら冒し様もないミスですから、このくらい厳しく言われても当然です。

************それを踏まえて、結びに入ります。**************


この先生には、やはり見えていなかった。

何がでしょう。


このヤクジカ、おかしいです。
この写真でも分からなくはない。頑張って見つけてください!

ツノに注目です。


ホラ!



これはダニ。
ツノからチューチューしていました。
耳の裏なんかにもものすごくいました。

なのにこの先生は気づかず、むつごろうさんばりにスキンシップをとりまくり。

いろいろ鬱憤も溜まっていたので、ダニを知りつつもしばらく二人(一人と一匹)を観察。それからダニの存在を教えてあげると、先生はプチ悲鳴を上げて逃げて行きました。

「先生待って〜ダニを取って」と言っている鹿。


逆にそれをこっちに教えてくれるくらいになってくれないと教授とは認めません!
(その後、観光客の女の子もダニに気づいてキャーと言ってたので、やはり虫をやってる者ならば気づく事柄でした)

ともかくがっかりでしたという話。ほんとはダニが鹿のツノからも体液を吸えるということであっさり終わらせたかったのですが。やはり鬱憤には勝てませんでした。

おわり